W3C XHTML 1.0 Transitional認証済 W3C CSS認証済
Google

UCG文中誤謬部分の訂正


 まあ、やっぱり雑誌の取材を受けるのは難しいもんです。私(岡本)ゃ5時間もしゃべったんですが、2ページにされちゃうと「言葉足らず」な部分が多すぎて、 直接訂正できないところが「あー、足がかゆい(笑)」。こーいうのを隔靴掻痒(かっかそうよう:カユイ足も靴履いてると思いっきりカケないのでイライラするさま。 転じて・・・って、広○苑かオレは)って云うんですね。

 ともあれ、少なくとも私にできる範囲でここに訂正しておきます。後世、この本のバックナンバーを見た方より、メインテナンスに対する当店のコメントが誤りであると 指摘されたりすると「こりゃ、シャクだった(笑)」てなことになりますから。

まず、「エンジン&補器類」について
 すさまじい(泣)オイル漏れといった表現が該当するのは、シングル(2)カム(SOHC)エンジン車のみです。
 よって、このコーナー記事で取り上げる前提とする「222からギブリ」までといったカテゴリーの中では「222 4V」「ギブリ」「シャマル」「レーシング」 「2.24V」などの4カム(DOHC)車は除外してください(但し、ちょっとは漏る(笑)。)
 また、これは上記両者に共通なのですが、記事文中で「特にヤバイ」と表現されているクランクシャフトシールは正確には「クランクシャフトリアシール」でして「リア」 であるところがポイントなんです。「クランクシャフトフロントシール」の交換はタイミングベルト交換のついでにできるからよいのですが、「リア」の方は、漏れがひどい場合は、 記事にあるように「目ん玉飛びで万円(笑)」になります。しかし、この「リアシール」、大概のマセラティで滲みや軽微な漏れはありますのであんまり気にしないでください。

 次にタイミングベルトの件、交換スパンが20,000kmをお奨めするのはやはりシングルカム車の場合で4カム車は30,000km位を目安にしたいものです。 但し、そのあとに続くウオーターポンプに関するくだりは本当で、新品でも取り付け穴にバリはついてるは、軸受の回転具合がおかしいのやら、取り付け面の「平面度」が出てないのやら、 まあ、結構スゴイです。パッキンは最近あんまり縮んでません(笑)。マセラティ社もフェラーリ傘下に入ってから後は、新品パーツの信頼性にも少しは気を遣うようになってきました。
なにせ前はウオーターポンプASSYやメインヒューズボックスASSYを「ラップ」で「グルグル巻き」にして送って平気でヨコしたもんです。
最近はカッチョイイ「ロゴ入り」のパッケージ箱に入ってくるようになりました(でも、きれいなブリスターパックで封がされているのにベアリングなんかはサビが出てたりするんですけど・・・(大笑泣)。


 で、冷却水回りの話ですけれど、「あちこちから水が漏れやすい」というのは不適当な表現で、「あちこち滲んだまま乗られている個体が多い」ということで、 定期的にきちんとホース交換をやれば全然大丈夫です。ところが、「ホース」といいましても、目の前に見えてるラジエターのアッパー・ロアーのホースなんかはメッタなことではイカないんです。 肝心なのはインジェクションユニットのタコ足の裏にあるヒーターホースでこれはまず間違いなく交換履歴が無いとおもってよいくらいに交換されてないで

  • マセラティ3200GT(マセラティ3200GT)
  • マセラティクアトロポルテ エボルツオーネ(マセラティクアトロポルテエボルツオーネ)
  • マセラティクアトロポルテ(マセラティクアトロポルテ)
  • マセラティギブリ ギブリカップ(マセラティギブリカップ)
  • マセラティシャマル(マセラティシャマル)
  • マセラティカリフ(マセラティカリフ)
  • マセラティスパイダーザガート(マセラティスパイダーザガート)
  • マセラティ222(マセラティ222SE)
  • マセラティ430(マセラティ430)
  • マセラティ228(マセラティ228)
  • マセラティビトルボ(マセラティビトルボ)
  • マセラティビトルボスパイダー
  • マセラティビトルボ425
  • マセラティでイッてみよう!:2
  • マイクロ・デポ株式会社 マセラティと旧車の専門店 〒179-0071 東京都練馬区旭町1-41-16 TEL:03-5968-4717 FAX:03-5968-4718

す(すごく面倒臭いから)。 また、「水道の水を入れなきゃ」云々のくだりは本当です。サーモスタットなども交換されているものはマレですから購入時にきちんと一回やりましょう。夏場に、 「冷却水は入ってる・オイルもいいモノ使ってる・電動ファンも2個ガンガン回ってる・ラジエターサブタンクやキャップも取り替えた・・・なのに水温があがって乗れない、 故に通風口をボディに開けたり、エキゾーストに包帯巻いてる」という方は、冷却系でやる(交換整備)べきことのどこかがまだ終わってないか、見落としているハズです。 ラジエターのコア交換やリビルドなどもお奨めしておきます。

 さらにこの部分の訂正が一番したかったのですが、「オーバーヒート」に関する記述の中で、(電動ファンが)「水温が107℃に達した時点で同時に回り・・・」とありますが、 これは全くの誤りで、正しくは「2枚ある電動ファンは、エアコンOFF時に水温計が80℃前後から遅くとも90℃の線を0.5mm程度越えるくらいのタイミング (車両によってメーター誤差やセンサースイッチの感度などに差があるため幅を持たせています)で2個同時に回り始めるシステム」が正解。さらに「エアコンON時(コンプレッサー作動時)には、 2枚の電動ファンは共に常時回り続ける」を付け加えれば完璧です。取材時に「マセラティはよくオーバーヒートすると云われていますが、その辺ははいかがでしょう?」とフラれたので、 その答えの前フリとして私が語った「ほかのイタ車やベンツ等だと107℃とか108℃で安定するように冷却系が設計されているものもあるが、マセラティの場合80℃(正確には73℃) くらいから90℃くらいの間を若干いったりきたりしている状態が正常なので、たとえば一部のアルファロメオやランチア等のフィアット系各車に見られるような、真夏になると水温計がレッドゾーンの 2mmくらい手前までせまってくるので安定していてもヒヤヒヤするといったことがなく、むしろマセラティの方が、自分の車の通常の水温計の挙動を正しく知ってさえいれば、他の欧州各車よりも オーバーヒートの兆候はつかみやすいので早めに対処はできるはず(要旨抜粋)」といった発言の中にある数値が間違えて記載されてしまったようです。

 くどいようですが、マセラティの電動ファンはいかなる場合も必ず2個同時に回るか止まるかが正解で、一個しか回ってないとか、水温計が100℃を越えているのに回っていないのはファンの 回路やセンサーになんらかの不良があり、それが原因です。必ず直せます。

 「マセラティの電動ファンはハイ・ローが切り替わるようになっている」という大嘘でマセラティユーザーを煙に巻いている業者が多数いるという情報を聞いております。お気を付けください。

 次に、「バッテリー上がり云々」のくだり、バッテリー上がりの原因として、あたかもセルモーター本体のような記述になっちゃってますが、正解は「充電系統は、オルターネーターから セルモーター及び、セルモーターからバッテリーへと常時電源線(いわゆるB端子線)が存在し、オルターネーターで発電した電流をセルモーターを経由してバッテリーに送っているのだが、 その各線とセルモーターの結線(結合)部の金具の品質の悪さや取り付け工作の不備により、リークの原因となる導通不良を引き起こしているケースが多く、これが何をやっても直らない バッテリー上がりの真犯人であることが多い(要旨抜粋)」が正解です。

 セルモーターのリレーがモタないし、ギボシがロクなモンでないのは本当ですが、そんなもんモーターの横になんか付いてないもん(大泣)・・・。段々ハラがたってきたぞー(笑)。 セルモーターリレーやギボシの交換はインジェクションユニットをはずさないで当然できます。インジェクションユニットを外すのは、エンジンVバンクの谷底にあるセルモーターにアクセスしたいがためです。 しかもそのセルモーターの上には、先ほど冷却系の項でお話したヒーターホース(3~4本)があり、それもはずす必要がありますので、ついでにヒーターホースとたいがい腐ってるホースバンドを 全部取っ替えてしまうわけです。当店販売のデ・トマソ期マセラティは、全車この行程を経て送り出されておりますので当店ユーザーの方はご安心を。

 ついでながら、他にも、マセラティで「数日放置しただけでバッテリーがあがる」原因として考えられるのは、トランク灯が付きっぱなし(水銀スイッチの部品不良や取り付け不良、トランク灯本体の不良) であるとか、ドア灯が付きっぱなし(ドア灯スイッチ不良や結線間違い、メインヒューズボックス不良)であるとか、集中ロックが中途半端な位置で施錠されており、 しっかり降りてない(ロックアクチュエーターの不良、集中ロックリンクの調整不良、ドア内張材の変形によるノブ部の干渉)とか、お約束のメインヒューズボックスそのものの不良とか、 フューエルポンプリレー等がON側で固まっちゃってる不良(イグニッションOFFなのにポンプが回り続けている状態)、もちろんバッテリーの不良、オルターネーター不良によるリーク等々など エトセトラ・・・(笑)といった感じで数限りなくありますな(泣)。

 ですから、セルモーターそのものはバッテリー上がりの原因ではないんです。但し、その次にでてくるセルモーター本体の内部破損の話やマレリ・ヴァレオの違いの話は本当です(ちょっと言葉が足らないけど)。 旧い型のマレリの方はこの内部破損は設計上ありえません。「永久磁石のノリ付け」ではなく、「巻き線コイルのビス止め」だからです。マレリは電磁クラッチやピニオンギア・アマーチュアコイル等の リビルド用新品パーツにより、オーバーホールが可能ですが、ヴァレオは壊れると単品部品交換が構造上できなくなっており、アッセンブリー交換になります。またマレリのリビルドとヴァレオの ASSY新品の価格は、ほとんど同額になるように価格設定されております。
・・・だけどこれもバッテリー上がりとはまったく関係ありません(その前にセルが回らんわけですから。)。


 今度はボディ/シャシー&トランスミッションの項です。
 純正ダンパーの話はだいたい全部本当です。次のデファレンシャルギア(デフ)の話ですが、90万円コースになるのは、「旋回時にデフがひどく唸(うな)りまくる」とか、明らかにLSDの効きがおかしい (それを背中を押されるようなと表現したのかなあ)場合だけで直進時の「ゴー(ハブベアリング不良に似た音)」がリアシートの直下から聞こえるのはデフフロントケースベアリングの不良だし、 アクセルのON/OFF時に発生する「コン」「ガツン」「ガコン」「ガキン」(笑)等々はデフ内部のギアのバックラッシュ(各ギアとギアの咬合面のすきまと考えてください)が過大になっているか、 駆動系の各シャフト(プロペラシャフト、ドライブシャフト等)の嵌め合わせ溝(スプライン)等のガタのどちらかか、どっちも(泣)かが原因です。この「バックラッシュ調整」 が限界まできている場合は90万円コースになりますが、いまやマセラティのデフなんか解体屋にいくらでもありますよ。これまたご安心を。


 ふーっ、やっと最後になりましたが、トランスミッションの話のくだり。
 ギブリの5段ミッションが絶対だめだなんて云ってないです。但し、壊れているものはその流通台数の割に多いのは確かなようです。マセラティの繊細なマニュアルミッションは、 ZFの5段もゲトラークの5段も6段も「ヘタッピ」が乗れば直ぐ壊せます(笑)。また、ギブリの5段ミッション車は「一度ドイツ本国ゲトラーク送り」にした履歴がハッキリわかっているクルマなら 対策パーツが組み込まれていることでしょうから、むしろ「買い」かも。また、ベアリングが「ミーミー」鳴くのはマニュアルミッション車の話で、オートマ車は「ATクーラーホース」のオイル漏れが 多いくらいできちんとした個体を選べば全く問題ありません。但し、このATクーラーホースが「ジャジャ漏れ」なのにそれを知らずにATF(オートマフルード)を切らしたまま乗り続けたような個体は オーバーホールが必要になりますが、オートマミッションの脱着OH費用は60万程度で、上記の「ATクーラーホース(一本約5万円×2本)」をついでに交換し、ATFやらオートマ添加剤などを入れ、 さらにミッションマウント(2個)を交換しても75万円程度です。あとはオーナーのあなたが丁寧に扱い、ATク-ラーホースのモレや滲みとATFの量や汚れに気をつかいながら乗れば10万キロはもちます(本当)。 ATFは2年毎か2万キロくらいでの全量交換をおすすめします。でも、こんなのは他の欧州車でもあたりまえでしょ。また、オートマのマセラティで変速時(あるいは停止中、 セレクターレバーをPからDに入れた時など)のショックはどのマセラティも結構あります。オートマ本体の不良ではありません。エンジン・ミッションのマウントや既に述べたデフの問題などが原因です。 また、キックダウンケーブルの調整不良によりオートマの挙動がおかしいものは多いです。

 マニュアルミッション車の方は銘柄を問わず、特に冷間時は全段入りにくいです。かなりギアオイルを暖めた状態でも決まった段が入りにくい場合はシンクロナイザーのへたりが考えられます。 但し、この辺は乗り手のアクセル&クラッチ&シフトワークがうまければ気にならないハズなんですが・・・。また、ある段に入れていると走行中シフトレバーが勝手に戻ってくる(笑・・・そしてギア抜けする。 あたかもオートバイのように)。これは調整で直る場合とミッション内部に深刻なメカニカルダメージが有る場合が有りますので、そういうクルマはとりあえず逃げておきましょう。走行中シフトレバーの根本が 「カタ・カタ・カタ・・・」とけたたましく共振するのはある程度調整できますので心配いりません。


 最後になりましたが、このページをご覧になった方で、もしネット上のマセラティに関わる掲示板やチャットなどで今回のUCGの記事の件が話題になっているようなのを察知した方にお願いなのですが、 「とりあえずマイクロ・デポのホームページを覗いて訂正文を見てやってくれ」と書き込みをいれてあげてください。間違った情報は人心を惑わせますから(笑)。

 本当に取材を受けるのは難しいですね。今回は原稿が上がった段階でのチェックをさせてもらえなかったものですから、こういう事態になりましたが、まあ、編集者側から云わせれば「あんだけ長い内容の ダイジェストなんだからゆるしてチョ」といったところでしょうか。本当は(特にお近くにお住まいの方は)、まず、ご来店をいただくのがマセラティを知って頂くにはベストなんですけれどもね。ともあれ、 マセラティがこういうメジャー誌に取り上げられることはマレですから、皆さん大目に見てやってください。
そんなところも「マセラティらしい」じゃありませんか!(トホホ)

・・・で、ホッとしてたら後日談発生(笑泣)


Return to page top