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マセラティクアトロポルテと暮らしてみませんか~ガンディーニの疾駆するオブジェ:エンジンについて⑥ バルブレイアウトDOHC4バルブへの道:1

 ガンディーニ・クアトロポルテのエンジンスペックは、水冷90度V型6気筒(8気筒)DOHC4バルブ インタークーラー付ツインターボでしたね。

 ここでは、この「DOHC4バルブ」というエンジンのシリンダーレイアウトに到達するまでの歴史を、自動車とともに発展してきた航空機の歴史を重ねながら概観してみます。相変わらず、 マセラティに近づいていきませんね(笑)。しかしながら、ガンディーニ・クアトロポルテがいかに「有難い」存在のエンジンを搭載しているかを、なんとかご理解頂きたく・・・。とにかく、もう暫くのガマンですから。

 まーね、ホントは、戦後の「川崎」がこしらえた「オートバイ」方面にも、興味深い「機構」をもってるモノがあるんで、その辺だけでも「ブログで10日分は、こなせる」くらいのネタ分量があったんですけど、 やめときました(グスン:泣)。ヒコーキ話の方は「日産」で締めなんですけど、「エンジンについて⑤」の方でおハナシしてある、「ハ40」発動機と「異母兄弟」とも云える「熱田(アツタ)」 エンジンを造った愛知飛行機(のちの愛知機械工業:戦後はジャイアント三輪トラックや軽自動車コニーの製造で有名。昭和40年代に日産自動車に吸収された。)のハナシは、省略します。また、「日産」は、 「プリンス自動車工業」も吸収しており、これは「旧中島飛行機」の一派なんですが、スバルの内容と重複しますので、戦時中のハナシは、やっぱり流します。で、その後の歴史も、「プリンス スカイライン」と検索すれば、 それこそ、モーイヤと言うほど「プリンスおたく」は居ますんで(笑)、そちらにまかせます。ワタシ、スカGとか、あんまり好みではないもんで(いや、書いていいならこのネタだけで軽くブログ5日分はもつんだが)。 でもね、自動車エンジン技術史的には、この「プリンス」の説明はキチンとしておきたいと思うのですが、みんな、聞く気ある?(笑)

 マセラティに乗るくらいの「変態さん」たちは、これくらいは覚えておいてもいい、「S20型エンジン」。何?知ってる?それはそれでヨシ。 知らないヒトは、覚えておいてください。機械として素晴らしいし、美しい。
 およそ、エンジンルーム内の景観には無頓着としかアイサツのしようがない、古今の国産車の中にあって、このマシン(まさに、ザ・マシン)だけは別格。
 ただなあ、搭載されたクルマ(ロードカー)の方がねえ・・・。

・ハコスカGT-Rセダン→2ドアハードトップ
・ケンメリGT-R2ドアハードトップ
・フェアレディZ(初代)432
・フェアレディZ(同)432R

 ま、フェアレディZはキライじゃないけど、ボディデザインは北米日産のものだし、格調低いジャガーEタイプとか、軽~いフェラーリ275GTBといった感じだもんなあ。ケンメリ&ハコスカはワタシの中では、 もう論外といった(とはいえ、ムカシ我が家のおやじは、ハコスカは3台も乗り継いだので、愛着もあるにはあるんだけれども)感じで、ヒコーキ屋さん上がりのヒトたちが考えるこの時代のクルマのデザインは、 どうしてこうなっちゃうんだろー、と、率直に云っときます。だいたい、内装の匂いがもうダメでした(こどもの頃)。

 で、「S20」のハナシ。当時の国産車では、まず、「直列6気筒」だけでも、「スペシャル」なものでした。それに、ツインカムヘッドがついて、おまけに気筒あたり4バルブの合計24バルブ、キャブもさすがにウエーバー (この先祖モデル、プリンススカイラインGT-Bには、ウエーバーついてた、これ未装備のGT-Aの30万円高!当時の価格で)は奢れなかったけれど、三国ソレックス3連装、タコ足エキゾースト、カムカバーの結晶塗装 (マセラティエンジンでお馴染みの縮れ塗装デス)、と見せる要素が満点。欠点は難しすぎて、メンテ出来なかったこと。当時、メーカー出荷時にすでに完調なものはほとんど無かったのではと思われます。

 「カーグラのフルテスト信望者」で「人呼んで、原理主義者(笑)」のワタシは、村山の試験場でたびたび行なわれるゼロヨンや最高速チャレンジの結果を見て、「やっぱ、今回もダメだわ」とタメ息をついてたもんです。 いっつも、なんやかんやと理由や言い訳があって、ロクな数字が出てこない。いかに完全な状態を維持するのが難しいマシンであるのかが偲ばれます。「音」はいいんですけどねえ(笑)。「プリンス大森SCのチューンナップキット」 で武装すれば・・・。とかいうのは、ワタシの耳には入りません。「原理主義者」だから(笑)。翻って、ビトルボ系のマセラティなんか、「カーグラのフルテスト」や「インプレ」じゃ、どれも「当時とすればスゴイ数値 (いや、現代の基準でもなかなかのもの)」をさしたる「言い訳」もなく、叩き出しております。ワタシも、そこに「イカれちゃった」んだな、きっと。「CGフルテスト信望者」だから(笑)。いや、やっぱスゴイことですよ、 「水冷90度V型6気筒(8気筒)DOHC4バルブ インタークーラー付ツインターボ」なんていうのが、さしたるチューニングも必要とせずにチャンと動作するんですから。ビトルボエンジンいいじゃん。(ここで、ちょっと休憩)


番外コラム:排気ガス規制による、「高性能車の暗黒時代」
 で、このあと(70年代前半から)暫くの間、各メーカーは、米国議員発案の「マスキー法案(自動車の排気ガス成分の浄化を期限と具体的達成目標付きで推進する義務をメーカーに課する内容の法案)」が議会で通っちゃったモンで、 コレをなんとか、クリアしなくちゃならなくなって、この時点より、全世界の自動車メーカーは右往左往するんです。これ達成しないと、巨大な北米市場を失うわけですから、メーカーは大から小にいたるまで、死活問題を抱えたも同然。 まったく、今現在の「CO2削減推進問題」とおんなじムーブメントというべきで、歴史は繰り返しとるなーと思いますが、「京都議定書問題」を見るまでもなく、今度は合衆国(前ブッシュ政権時:オバマさんはどう出るでしょうか) が及び腰なのは、米国メーカーのエコカー技術が遅れをとってたりなど、いろいろと事情があるんで大変なんでしょうけれども、身勝手なモンです。
 お若い方は知らないと思いますが・・・、「ジジイども(笑)」の皆さーん覚えてますかー。
 48年規制、50年規制、51年規制、と呼ばれた日本の排出ガス規制。このおかげで、どれだけのマシンのキバが抜かれて「ぜーんぜん走らん」ものになったコトでしょう。「キャタライザー(触媒)」というものが、 エキゾーストの途中に設けられているのはコレが発端なんですよ。
 で、例のフルテストでヤルわけです、国産車のも。ホンで、なにしろ「絶望的な数字」を毎回見せられるわけです(中学生のワタシに)。だってさー、2000CC級の国産GTカーたちが、最高速160Km/hに届かなかったりするし、 ゼロヨン18秒台なら「速いほう」といった有様だったんですから。で、唯一何とかなりそうだったのが、「マツダコスモAP」というわけで、ロータリーエンジン信望者になりかけたことも(知られざる過去)ありました。 中学校の文化祭では、模型同好会を急遽発足させ、コスモのプラモ作って展示した(笑)。「オトナになったら乗るんだ、色はねー、サンライズレッドかサンダーイエローだな」とか、夢想の日々を送ってましたよ。 そのまま、イッてたら、「ロータリー大魔王」になってたカモしれませんね。

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 そこに・・・、かの「スーパーカーブーム」が降って湧いたように降臨(笑)。ワタシャ「天才バカボン」以外にマンガって読んだことなかったんですが、初めてマンガ単行本、買いに行きましたよ「サーキットのむすめ(笑)」。 いやー、ハマりました。毎週自転車漕いで「世田谷環状8号線詣で」。テレビを付ければ、「サンすたああー!すうぱあかあー、これっくしょんー、せぶんセぶん!!」の歌声(松崎しげるか串田アキラかヒデゆうきと思われる)も高らかに、 画面よりこちらに向かって爆走してくる、オレンジ色のLP400カウンタック他数台のスーパーカー。次の日からは、練馬平和台のスーパー「シヅオカヤ(今はダイエー傘下になっちゃってる)」に日参、サンスターの歯磨き、 買いマクりました(当時のスーパーカー小僧あこがれのイベント「スーパーカーコレクション77(セブンセブン)」は、サンスター歯磨製品一本に一枚ついてくる、スーパーカーカードのアタリ券がないと参加できなかったため、 みんな買いまくりのハズシまくり(笑)。人生中あんなに歯を磨きまくったのは、あの時だけだったな、思えば(今や虫歯だらけ:笑)。
 その後、中学の卒業文集だったかに、「ぼくの生きがい」と題して、スーパーカーに賭けるアツい一文をよせ、紆余曲折を得て現在にいたる、と。
そう考えると、「スカGたち」は、そのエンジンの素晴らしさ、かっこよさと、廃ガス規制時のなさけなさで、思春期のワタシの心情を熟成するもとにはなったとは、いえるでしょう。おかげでマセラティ&イタ旧車屋になれたもんね。 あれ、このコーナー「スーパーカーと私」だったっけ(笑)?


(休憩、終わって・・・)
 実は、先ほどまでの「マセラティになーんも関係なさそうな」ハナシ達の中に、なにげなく「DOHC4バルブ」エンジンたる、プリンスの「S20型エンジン」を紛れ込ませておきましたが、イタ車の世界では、ロードカーで 「DOHC&気筒あたり4バルブエンジン」搭載車というものは、ここ20年ちょっとの間にようやく出現したものである(で、その嚆矢はいったいドレなんだろなー?フェラーリ308クアトロヴァルボーレあたりなのかな、 フィアット131レーシング?って4バルブだったっけ?[いずれにしても80年代中盤])、というコトを説明するための前フリだったんです。
 1960年代前半のイタリアンスーパーカーの世界では、「老舗マセラティ」と「戦後派フェラーリ」がほぼ勢力を二分(市場シェアという観点だけでなく、そのレースに於ける実績や、それぞれに属する有能な技術者たちも) していたわけですが、そこに振興勢力たる「ランボルギーニ」と「イソ」が乱入(笑)、60年代も後半になると、「デ・トマソ」も登場し、派手な新車合戦が繰り広げられるワケですが、この辺の詳しいハナシはいつの日か取り上げますんで、 ここではアッサリと。

 まず、「イソ」なんですが、このメーカーは、もともと冷蔵庫屋です。戦後、落ち着きを取り戻したイタリア人の足となったクルマとしては、我が国では「フィアット500(トッポリーノ・ヌーボトッポリーノ:ルパンはこっち) シリーズ」「同600シリーズ」が有名ですが、それすらも手の届かない贅沢品にみえる大衆の要求に応えてでてきたのが、後世に「バブルカー」と呼ばれた「小さく愛らしいクルマ」たちなんです。この日本でも、360CC 規格軽自動車が生まれる以前に、「フジキャビン」「ダイハツ・ビー」「ミカサ(当時、流体継手:今でいうトルクコンバーターの特許を持ってた岡村製作所、そう、スチール家具で現在でも有名なオカムラが作ってました)」 「フライングフェザー(住江製作所:当時主に日産車の内装素材を担当していた、住江織物(現在でもカーペット製造メーカーとして有名)の関連会社が少数製造)」「ニッケイタロー(これ、説明すると日が暮れるので省略:笑: フザケタ面白い車なので、ネットで検索してみてください)」など、「何とか、安く大量販売できないものか」と知恵をシボって作られましたが、どれも今ひとつ決定打にかける存在で、大量生産とは程遠い数字を残して 市場から消えていきました。
 ドイツでは、安価な乗用車では、有名なVWカブト虫がありましたが、これもまだまだ高嶺の花。さらに廉価なセグメントに「DKW(デーカーヴェー)ゾンデルクラッセ・マイスタークラッセ」、商用では「ゴリアート(ゴリアテ)」 などが(それでもまだ比較的裕福な)庶民のアシとしてそれなりに売れていました。
 だけど、それでも、「まだリッパ、もっと安いのでいい」のご要望にお応えして登場したのが、「メッサーシュミット」と「BMWイセッタ」です。この二車につきましても、ホントは山のように書くコトがあるんですが、 又の機会にしましょうね、長くなりそうだし。興味とガッツのある方は「検索&ネットサーフィン」をどうぞ。
 で、この「BMWイセッタ」の原型たる「イソイセッタ」、コレを始めに開発したのが、なぜか冷蔵庫メーカーの「イソ社」だったんです。この「イセッタ君」、あんまり、原型の完成度が高かったもんで、 ヨーロッパ諸国の庶民層にたいへん受け入れられ、各国でライセンス生産されていたので色々なイセッタが存在します。おそらくは、このクルマが、前述したこの手のクルマの総称「バブルカー」の語源になっているものと思われ、 なんとも、「不気味(笑)且つ愛らしい造形」をしております。
 で、なんの因果か、この「冷蔵庫屋でバブルカー屋」の会社が60年代前半より、「スーパーカー道(笑)」に目覚め、「ベルトーネ」などのカロッツエリア製ボディに、「アメリカンマッスルV8エンジン」 を突っ込んだマシンを次々に発表します。今日はとりあえず、「リヴォルタ」と「グリフォ」の2車名だけを覚えておいてください(笑)。

 はい、お次は「ランボルギーニ」。「トラクター屋でエアコン屋」ですね。この社の歴史はソリャモー「いーぱい」書籍が出てますので、ネットサーフィンしてみてください(って、「逃げ」ばっか:笑)。

 ところで、イタ車エンジンのツインカム(4カム)化、気筒あたり4バルブ化を促進したと思われるのは、この「ランボルギーニ」車出現に端を発すると思われますので、このあたりのみサラっと、おハナシをばいたします。
 1960年初頭。この時点では、フェラーリのロードカーはSOHCエンジンでした。もちろんV12ではありましたが。60年代も半ばになると、レーシングエンジンを由来とするV6の「ディーノユニット」をロードカーに搭載、 有名なディーノ206(246)GTができあがりますが、これは「エンツオ・フェラーリ(フェラーリ社創業者:超有名人:勝手に検索をどうぞ)さん」自体が「12気筒でないのは、フェラーリにあらず」という名言(迷言?) を吐いていたらしいので、ソレをそんちょーして、ココでは無かったことに(笑)。で、マセラティ。こちらは、直6とV8のDOHCユニット搭載で、気筒数を除けば、バルブ駆動理念は一歩先行く存在。そこに、 「ランボルギーニ降臨(笑)!」「V12とDOHC」を合体させた、「4カムDOHCV12ユニット」を完成させ、プロトタイプ第一号車の「350GT」にいきなり搭載、量産車は、深海魚のフォルムに、 ポルシェ911の上半身を乗っけたような、珍妙極まるマシンだったため、今ひとつの評判でしたが、ベルトーネ製の「ミウラ」シャーシ&ボディを発表した途端に大人気車種に。この初代「ランボルギーニミウラP400」 は急造のため、各部の設計のツメが甘く、まともには走れない有様の、いわば開発中のプロトタイプを量産しちゃった様なマシンでしたが、ランボルギーニ自慢のエンジンを、マセラティやフェラーリがまだ市販に漕ぎ着けていなかった、 ミッドシップレイアウトとし、看過できない存在感をアピールしていました。ワタシはマセラティ屋ですが、「ミウラ(非SV)」「カウンタック(LP400のみ)」「ディーノ(206でも246でも)」 「ストラトスHF」のイタリアンスーパーストラダーレに関しては、4車ともに、「別格的存在」として日頃から「崇めて」おります。但し、オブジェとしてだけど(笑)。自分の車庫に入れて眺めながらサケでも飲みたいよなあ、ホント。
 この60年代中盤時点で、「カタログ値における世界最高速ロードカー」の序列には「マセラティギブリ(初代)」「フェラーリ275GTB」「イソグリフォ」「デ・トマソマングスタ(ギア)」などが、 軒を連ねておりましたが、いきなり標榜する最高速が290Km/h以上!の「ランボルギーニミウラ」の存在は当然(実測ではとうていムリとしても)のように、いわゆる「セレブリティ(特ににわかの方々)」の目をひき、 「頭ひとつリード」したわけです。ちなみに、「本当に300Km/h」のカベを初めて突破しそうになったのは、フィアットグループの支援を全面的に仰ぎ、その風洞実験用装置を駆使して、航空機の「流体力学(エアロダイナミクス)」 理論を取り入れながら、ボディ形状を(当時の自動車製造技術内ではありますが)徹底的に煮詰めて完成した「フェラーリ365GTB/4(俗名デイトナ)」が、フィオラノテストコ-スで叩き出した297Km/h (294だったか、このヘンうろ覚え)と云われています(でもカタログ値は実に控えめに、280Km/hだったけか?と書いてあった様に思います、「フェラーリ、正直じゃないか!」と思った記憶あり)。
 で、ここまで、やって参りましたが、未だ「気筒あたり4バルブ化」までは、イタ車(ロードカー)の世界では、未到達だったわけです。で、昨日の「プリンスS20」は60年代末に登場しているわけですから、 いかに贅沢なものだったかというハナシに繋げたかったわけです。前述のデイトナ風洞実験のくだりと併せて、「ヒコーキ屋あがり(あるいは兼業)の自動車屋」、あだや、疎かにしてはいけませんぜ、ダンナ(笑)。

 というわけで、イタ車4バルブ化への道のりはまだ続くのでありますので、ここらで一旦整頓(おさらい)しておきましょう。

 はい、1960年代のイタリアンスーパーカーメーカーの名を5つ挙げよ。
・マセラティ
・フェラーリ
・ランボルギーニ
・イソ
・デ・トマソ
・・・でしたね。で、先にイソの方はサラッと説明いたしましたが、デ・トマソについては、説明を省略していました。皆さんご存知のように、デ・トマソは「ビトルボマセラティ」の生みの親でもありますから、 今後幾らでも説明の機会がありそうです。ここでは、「ヴァレルンガ」「マングスタ」「パンテーラ」の3車名をとりあえず、覚えておいてくださいね。
 で、イソとデ・トマソは自社でエンジンの開発をすることは無く、特にフルサイズスーパーカーには、アメリカ製の大排気量V8・OHVエンジンを搭載して販売していたメーカーです。まっ、イマ風に云えば、 イタリアンカロッツエリアルックとアメリカマッスルエンジンの「コラボ(キライだ、この言葉)」ってなモンでしょう。

 そこでこれから、OHV(オーバーヘッドバルブ)という、バルブ駆動方式の説明に絡めて、この「バルブ」全般のお話を簡単にしておきましょう。まず、バルブの基本的な形状は、ヨコから見ると「ラッパ」みたいなカタチのもので、 その「出口(口径の最大部分)」にあたる部分が塞いであるといった感じ。で、このバルブは、通常一つのシリンダー(燃焼室)に対し、吸気バルブ・排気(掃気)バルブの各1本が配置されています。この吸気排気のバルブは 4ストローク(4サイクル)エンジンには、ガソリンエンジン・ディーゼルエンジンともに不可欠ですが、2ストローク(2サイクル)エンジンやロータリーエンジンには基本的(原理的)には必要ありません。 2ストロークエンジンの進化の過程では、色々と、付加的にリードバルブなどの制御デバイスが付くのですが、その辺やると、「オートバイ方面」に大きくハナシがそれそうなので(笑)、また別の機会に。

 4サイクルエンジンのバルブレイアウトの一般史では、
・SV(サイドバルブ方式)
・OHV(オーバーヘッドバルブ方式)
・OHC(SOHC:オーバーヘッドカムシャフト方式)
・DOHC(ツインカム:ダブルオーバーヘッドカムシャフト方式)
の順に進化し、次第に高性能、高級化してきた、というコトになっています。簡単にいうと、「いかに、すべてのバルブ駆動をそれぞれ独立したダイレクト駆動に近づけるか」の歴史です。レシプロエンジンは基本原則として、 エンジン回転数を上げれば上げるほど、ピークパワーを上げるコトが出来ると盲目的に考えられてきた側面があり、エンジン内部の高速回転時にある回転数を超えると、バルブが正常動作しなくなる(ついてこれなくなる)現象 (バルブサージングといいます)が起こるためコレがそのエンジン性能の限界点になってたわけです。で、この限界点を少しでもあげていくための方法論がカムシャフトによるダイレクトなバルブ駆動であり、 気筒あたりの多バルブ化(バルブを小さくして、その質量(による慣性)を減らし、超高速回転にもついていけるようにするための工夫)であるわけです。で、マセラティも、超高性能サルーンの威信を賭けて、 ガンディーニのクアトロポルテには、このDOHC4バルブを採用するコトになったんですね。きっと(そうなのか?:笑)。

 ところでSV方式は、ほぼ絶滅種といって差し支えないと思いますが、ほかの3種は現在でも、盛んに使われています。とりわけ、昨日までのハナシでお分かりのように、1960年代までは、「夢の高級エンジン」であった、 DOHC(ツインカム)は、平成の世ではスッカリ大衆化してしまい、その有難味はまったく無くなってしまいました。今では、軽自動車や商用車でも、ちっとも珍しくありません。
あっ、そうそう、ホンダが初めてつくって販売した四輪車は、「ホンダT360トラック(昭和39年)」といい、「360CC・DOHC・タコ足エキゾースト・ミッドシップ」という、スペックだけ聞いたら 「アバルト(これもいつか詳しく別項でヤリたいな)」みたいな「アホ商用車(笑)」でした。ムカシのクルマは、ほんと面白いですね。昭和40年代前半までの「若いホンダ4輪車」はクダラネーエンジンがまだまだありますので、 今後もブログなどでとりあげていきたいと思います。
しかし、現在では、製造技術の進化、素材技術の発展、電子制御技術の細密化(キメ細かい制御が可能になった)等々のファクターにより、必ずしも、ガソリンエンジンのDOHC車でないと高性能なクルマ (特にロードカーでは)造りが出来ないとは限らなくなっており、環境問題の観点からは、ディーゼルエンジンも見逃せないものを持っております。「ハイブリッド」の前に、まだまだ、ヤレることあると思うんだけどなあ。・・・とボヤきつつ、まだまだ続くのであった。

クアトロポルテと暮らしてみませんか・・・エンジンについて⑦にホントは続くのですが、エンジンについて⑦は工事中のため現在閲覧できません(申しわけない!)。
とりあえず、そのまた先の当コーナー続きを見たい方は
クアトロポルテと暮らしてみませんか・・・エンジンについて⑧に続く
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