そこに・・・、かの「スーパーカーブーム」が降って湧いたように降臨(笑)。ワタシャ「天才バカボン」以外にマンガって読んだことなかったんですが、初めてマンガ単行本、買いに行きましたよ「サーキットのむすめ(笑)」。
いやー、ハマりました。毎週自転車漕いで「世田谷環状8号線詣で」。テレビを付ければ、「サンすたああー!すうぱあかあー、これっくしょんー、せぶんセぶん!!」の歌声(松崎しげるか串田アキラかヒデゆうきと思われる)も高らかに、
画面よりこちらに向かって爆走してくる、オレンジ色のLP400カウンタック他数台のスーパーカー。次の日からは、練馬平和台のスーパー「シヅオカヤ(今はダイエー傘下になっちゃってる)」に日参、サンスターの歯磨き、
買いマクりました(当時のスーパーカー小僧あこがれのイベント「スーパーカーコレクション77(セブンセブン)」は、サンスター歯磨製品一本に一枚ついてくる、スーパーカーカードのアタリ券がないと参加できなかったため、
みんな買いまくりのハズシまくり(笑)。人生中あんなに歯を磨きまくったのは、あの時だけだったな、思えば(今や虫歯だらけ:笑)。
その後、中学の卒業文集だったかに、「ぼくの生きがい」と題して、スーパーカーに賭けるアツい一文をよせ、紆余曲折を得て現在にいたる、と。
そう考えると、「スカGたち」は、そのエンジンの素晴らしさ、かっこよさと、廃ガス規制時のなさけなさで、思春期のワタシの心情を熟成するもとにはなったとは、いえるでしょう。おかげでマセラティ&イタ旧車屋になれたもんね。
あれ、このコーナー「スーパーカーと私」だったっけ(笑)?
(休憩、終わって・・・)
実は、先ほどまでの「マセラティになーんも関係なさそうな」ハナシ達の中に、なにげなく「DOHC4バルブ」エンジンたる、プリンスの「S20型エンジン」を紛れ込ませておきましたが、イタ車の世界では、ロードカーで
「DOHC&気筒あたり4バルブエンジン」搭載車というものは、ここ20年ちょっとの間にようやく出現したものである(で、その嚆矢はいったいドレなんだろなー?フェラーリ308クアトロヴァルボーレあたりなのかな、
フィアット131レーシング?って4バルブだったっけ?[いずれにしても80年代中盤])、というコトを説明するための前フリだったんです。
1960年代前半のイタリアンスーパーカーの世界では、「老舗マセラティ」と「戦後派フェラーリ」がほぼ勢力を二分(市場シェアという観点だけでなく、そのレースに於ける実績や、それぞれに属する有能な技術者たちも)
していたわけですが、そこに振興勢力たる「ランボルギーニ」と「イソ」が乱入(笑)、60年代も後半になると、「デ・トマソ」も登場し、派手な新車合戦が繰り広げられるワケですが、この辺の詳しいハナシはいつの日か取り上げますんで、
ここではアッサリと。
まず、「イソ」なんですが、このメーカーは、もともと冷蔵庫屋です。戦後、落ち着きを取り戻したイタリア人の足となったクルマとしては、我が国では「フィアット500(トッポリーノ・ヌーボトッポリーノ:ルパンはこっち)
シリーズ」「同600シリーズ」が有名ですが、それすらも手の届かない贅沢品にみえる大衆の要求に応えてでてきたのが、後世に「バブルカー」と呼ばれた「小さく愛らしいクルマ」たちなんです。この日本でも、360CC
規格軽自動車が生まれる以前に、「フジキャビン」「ダイハツ・ビー」「ミカサ(当時、流体継手:今でいうトルクコンバーターの特許を持ってた岡村製作所、そう、スチール家具で現在でも有名なオカムラが作ってました)」
「フライングフェザー(住江製作所:当時主に日産車の内装素材を担当していた、住江織物(現在でもカーペット製造メーカーとして有名)の関連会社が少数製造)」「ニッケイタロー(これ、説明すると日が暮れるので省略:笑:
フザケタ面白い車なので、ネットで検索してみてください)」など、「何とか、安く大量販売できないものか」と知恵をシボって作られましたが、どれも今ひとつ決定打にかける存在で、大量生産とは程遠い数字を残して
市場から消えていきました。
ドイツでは、安価な乗用車では、有名なVWカブト虫がありましたが、これもまだまだ高嶺の花。さらに廉価なセグメントに「DKW(デーカーヴェー)ゾンデルクラッセ・マイスタークラッセ」、商用では「ゴリアート(ゴリアテ)」
などが(それでもまだ比較的裕福な)庶民のアシとしてそれなりに売れていました。
だけど、それでも、「まだリッパ、もっと安いのでいい」のご要望にお応えして登場したのが、「メッサーシュミット」と「BMWイセッタ」です。この二車につきましても、ホントは山のように書くコトがあるんですが、
又の機会にしましょうね、長くなりそうだし。興味とガッツのある方は「検索&ネットサーフィン」をどうぞ。
で、この「BMWイセッタ」の原型たる「イソイセッタ」、コレを始めに開発したのが、なぜか冷蔵庫メーカーの「イソ社」だったんです。この「イセッタ君」、あんまり、原型の完成度が高かったもんで、
ヨーロッパ諸国の庶民層にたいへん受け入れられ、各国でライセンス生産されていたので色々なイセッタが存在します。おそらくは、このクルマが、前述したこの手のクルマの総称「バブルカー」の語源になっているものと思われ、
なんとも、「不気味(笑)且つ愛らしい造形」をしております。
で、なんの因果か、この「冷蔵庫屋でバブルカー屋」の会社が60年代前半より、「スーパーカー道(笑)」に目覚め、「ベルトーネ」などのカロッツエリア製ボディに、「アメリカンマッスルV8エンジン」
を突っ込んだマシンを次々に発表します。今日はとりあえず、「リヴォルタ」と「グリフォ」の2車名だけを覚えておいてください(笑)。
はい、お次は「ランボルギーニ」。「トラクター屋でエアコン屋」ですね。この社の歴史はソリャモー「いーぱい」書籍が出てますので、ネットサーフィンしてみてください(って、「逃げ」ばっか:笑)。
ところで、イタ車エンジンのツインカム(4カム)化、気筒あたり4バルブ化を促進したと思われるのは、この「ランボルギーニ」車出現に端を発すると思われますので、このあたりのみサラっと、おハナシをばいたします。
1960年初頭。この時点では、フェラーリのロードカーはSOHCエンジンでした。もちろんV12ではありましたが。60年代も半ばになると、レーシングエンジンを由来とするV6の「ディーノユニット」をロードカーに搭載、
有名なディーノ206(246)GTができあがりますが、これは「エンツオ・フェラーリ(フェラーリ社創業者:超有名人:勝手に検索をどうぞ)さん」自体が「12気筒でないのは、フェラーリにあらず」という名言(迷言?)
を吐いていたらしいので、ソレをそんちょーして、ココでは無かったことに(笑)。で、マセラティ。こちらは、直6とV8のDOHCユニット搭載で、気筒数を除けば、バルブ駆動理念は一歩先行く存在。そこに、
「ランボルギーニ降臨(笑)!」「V12とDOHC」を合体させた、「4カムDOHCV12ユニット」を完成させ、プロトタイプ第一号車の「350GT」にいきなり搭載、量産車は、深海魚のフォルムに、
ポルシェ911の上半身を乗っけたような、珍妙極まるマシンだったため、今ひとつの評判でしたが、ベルトーネ製の「ミウラ」シャーシ&ボディを発表した途端に大人気車種に。この初代「ランボルギーニミウラP400」
は急造のため、各部の設計のツメが甘く、まともには走れない有様の、いわば開発中のプロトタイプを量産しちゃった様なマシンでしたが、ランボルギーニ自慢のエンジンを、マセラティやフェラーリがまだ市販に漕ぎ着けていなかった、
ミッドシップレイアウトとし、看過できない存在感をアピールしていました。ワタシはマセラティ屋ですが、「ミウラ(非SV)」「カウンタック(LP400のみ)」「ディーノ(206でも246でも)」
「ストラトスHF」のイタリアンスーパーストラダーレに関しては、4車ともに、「別格的存在」として日頃から「崇めて」おります。但し、オブジェとしてだけど(笑)。自分の車庫に入れて眺めながらサケでも飲みたいよなあ、ホント。
この60年代中盤時点で、「カタログ値における世界最高速ロードカー」の序列には「マセラティギブリ(初代)」「フェラーリ275GTB」「イソグリフォ」「デ・トマソマングスタ(ギア)」などが、
軒を連ねておりましたが、いきなり標榜する最高速が290Km/h以上!の「ランボルギーニミウラ」の存在は当然(実測ではとうていムリとしても)のように、いわゆる「セレブリティ(特ににわかの方々)」の目をひき、
「頭ひとつリード」したわけです。ちなみに、「本当に300Km/h」のカベを初めて突破しそうになったのは、フィアットグループの支援を全面的に仰ぎ、その風洞実験用装置を駆使して、航空機の「流体力学(エアロダイナミクス)」
理論を取り入れながら、ボディ形状を(当時の自動車製造技術内ではありますが)徹底的に煮詰めて完成した「フェラーリ365GTB/4(俗名デイトナ)」が、フィオラノテストコ-スで叩き出した297Km/h
(294だったか、このヘンうろ覚え)と云われています(でもカタログ値は実に控えめに、280Km/hだったけか?と書いてあった様に思います、「フェラーリ、正直じゃないか!」と思った記憶あり)。
で、ここまで、やって参りましたが、未だ「気筒あたり4バルブ化」までは、イタ車(ロードカー)の世界では、未到達だったわけです。で、昨日の「プリンスS20」は60年代末に登場しているわけですから、
いかに贅沢なものだったかというハナシに繋げたかったわけです。前述のデイトナ風洞実験のくだりと併せて、「ヒコーキ屋あがり(あるいは兼業)の自動車屋」、あだや、疎かにしてはいけませんぜ、ダンナ(笑)。
というわけで、イタ車4バルブ化への道のりはまだ続くのでありますので、ここらで一旦整頓(おさらい)しておきましょう。
はい、1960年代のイタリアンスーパーカーメーカーの名を5つ挙げよ。
・マセラティ
・フェラーリ
・ランボルギーニ
・イソ
・デ・トマソ
・・・でしたね。で、先にイソの方はサラッと説明いたしましたが、デ・トマソについては、説明を省略していました。皆さんご存知のように、デ・トマソは「ビトルボマセラティ」の生みの親でもありますから、
今後幾らでも説明の機会がありそうです。ここでは、「ヴァレルンガ」「マングスタ」「パンテーラ」の3車名をとりあえず、覚えておいてくださいね。
で、イソとデ・トマソは自社でエンジンの開発をすることは無く、特にフルサイズスーパーカーには、アメリカ製の大排気量V8・OHVエンジンを搭載して販売していたメーカーです。まっ、イマ風に云えば、
イタリアンカロッツエリアルックとアメリカマッスルエンジンの「コラボ(キライだ、この言葉)」ってなモンでしょう。
そこでこれから、OHV(オーバーヘッドバルブ)という、バルブ駆動方式の説明に絡めて、この「バルブ」全般のお話を簡単にしておきましょう。まず、バルブの基本的な形状は、ヨコから見ると「ラッパ」みたいなカタチのもので、
その「出口(口径の最大部分)」にあたる部分が塞いであるといった感じ。で、このバルブは、通常一つのシリンダー(燃焼室)に対し、吸気バルブ・排気(掃気)バルブの各1本が配置されています。この吸気排気のバルブは
4ストローク(4サイクル)エンジンには、ガソリンエンジン・ディーゼルエンジンともに不可欠ですが、2ストローク(2サイクル)エンジンやロータリーエンジンには基本的(原理的)には必要ありません。
2ストロークエンジンの進化の過程では、色々と、付加的にリードバルブなどの制御デバイスが付くのですが、その辺やると、「オートバイ方面」に大きくハナシがそれそうなので(笑)、また別の機会に。
4サイクルエンジンのバルブレイアウトの一般史では、
・SV(サイドバルブ方式)
・OHV(オーバーヘッドバルブ方式)
・OHC(SOHC:オーバーヘッドカムシャフト方式)
・DOHC(ツインカム:ダブルオーバーヘッドカムシャフト方式)
の順に進化し、次第に高性能、高級化してきた、というコトになっています。簡単にいうと、「いかに、すべてのバルブ駆動をそれぞれ独立したダイレクト駆動に近づけるか」の歴史です。レシプロエンジンは基本原則として、
エンジン回転数を上げれば上げるほど、ピークパワーを上げるコトが出来ると盲目的に考えられてきた側面があり、エンジン内部の高速回転時にある回転数を超えると、バルブが正常動作しなくなる(ついてこれなくなる)現象
(バルブサージングといいます)が起こるためコレがそのエンジン性能の限界点になってたわけです。で、この限界点を少しでもあげていくための方法論がカムシャフトによるダイレクトなバルブ駆動であり、
気筒あたりの多バルブ化(バルブを小さくして、その質量(による慣性)を減らし、超高速回転にもついていけるようにするための工夫)であるわけです。で、マセラティも、超高性能サルーンの威信を賭けて、
ガンディーニのクアトロポルテには、このDOHC4バルブを採用するコトになったんですね。きっと(そうなのか?:笑)。
ところでSV方式は、ほぼ絶滅種といって差し支えないと思いますが、ほかの3種は現在でも、盛んに使われています。とりわけ、昨日までのハナシでお分かりのように、1960年代までは、「夢の高級エンジン」であった、
DOHC(ツインカム)は、平成の世ではスッカリ大衆化してしまい、その有難味はまったく無くなってしまいました。今では、軽自動車や商用車でも、ちっとも珍しくありません。
あっ、そうそう、ホンダが初めてつくって販売した四輪車は、「ホンダT360トラック(昭和39年)」といい、「360CC・DOHC・タコ足エキゾースト・ミッドシップ」という、スペックだけ聞いたら
「アバルト(これもいつか詳しく別項でヤリたいな)」みたいな「アホ商用車(笑)」でした。ムカシのクルマは、ほんと面白いですね。昭和40年代前半までの「若いホンダ4輪車」はクダラネーエンジンがまだまだありますので、
今後もブログなどでとりあげていきたいと思います。
しかし、現在では、製造技術の進化、素材技術の発展、電子制御技術の細密化(キメ細かい制御が可能になった)等々のファクターにより、必ずしも、ガソリンエンジンのDOHC車でないと高性能なクルマ
(特にロードカーでは)造りが出来ないとは限らなくなっており、環境問題の観点からは、ディーゼルエンジンも見逃せないものを持っております。「ハイブリッド」の前に、まだまだ、ヤレることあると思うんだけどなあ。・・・とボヤきつつ、まだまだ続くのであった。
クアトロポルテと暮らしてみませんか・・・エンジンについて⑦にホントは続くのですが、エンジンについて⑦は工事中のため現在閲覧できません(申しわけない!)。
とりあえず、そのまた先の当コーナー続きを見たい方は
クアトロポルテと暮らしてみませんか・・・エンジンについて⑧に続く
マセラティに乗りませんか・・・サイトトップページへ戻る