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マセラティクアトロポルテと暮らしてみませんか~ガンディーニの疾駆するオブジェ:各部駆動系統とサスペンションについて

 このコーナーでは、「ガンディーニのクアトロポルテ」の各部駆動系統と、前後のサスペンションについてのご説明です。

 まずはじめの「お題」はプロペラシャフト。こんなの、フツーのクルマでは、書くコトないはずのモンなんですが、マセラティだと、やっぱり、ひとネタあるんですねー、コレが(笑)。

 70年代半ばの、アルフェッタ系から75系にいたるアルファロメオでは、トランスアクスル(トランスミッションが後輪車軸側についてる:理想的な前後重量配分を、フロントエンジン・ リアドライブ車で目指したい場合に使われる手法:フェラーリ傘下マセラティでも多用されている)を採用したために、プロペラシャフトはエンジン回転(クランクシャフトの回転)と 等速で回るコトになるため、「芯」がキッチリ出ていないと、加速するたびにユスられるので、極めて不快でした。

 ビトルボ系はといえば、・・・トランスアクスルじゃないですよね。なのに、加速する時に床下で「ゴロゴロ」と打撃音がする場合があります。先のアルファロメオとは違って、こちらは、 ギアボックスで充分に減速した回転数でプロペラシャフトが回るわけですが、そのプロペラシャフト総全長の半ば地点に「プロペラシャフトセンターサポートベアリング」というものがありまして、 そのベアリング内輪穴が前後ニ分割のプロペラシャフトのスプライン嵌合部にあたります。これが「ゴロゴロ」の原因。このベアリング、床下に取り付けるための金具の中に、ゴムで焼きこんで 作られていますので、このゴムマウント部がヘタると、プロペラシャフトの位置が下がり、「芯」が思いっきりズレちゃうわけです。
 そもそも、ビトルボ系のキャブ時代より、この構造が使われており、ドーシテこういうコトするかなあー、といつものように推論いたしますと、これは、基本が同じプラットホームのホイールベース を伸ばしたり縮めたりしながら、車種のバリエーションを増やす時に、後部ユニバーサルジョイント(回転しながらクネクネと振れる:製造には、高度な技術が必要)の設計は同じまま、後部シャフト のリーチだけを、ホイールベースに合わせて換えるコトにより、いちいち「丸々一本」新規にシャフトをこしらえなくてもいいようにしているのでは、と、思います。やはり、「コストダウン」のためかあ。 じゃ、ベアリング部分をわざわざ作るコストはどーなるの?といった疑問も湧きますが、プロペラシャフトの前端と後端に普通は装備されている、「ディスクカップリング(急激に駆動系統にトルクが 伝わるのを抑えるための、ゴムにブッシュが焼きこんであるもの:穴のあいた今川焼きみたいな形状)」を省くこと(エボ前V8とエボV6・エボV8にはフロントだけ付いてる)により、 ウマイことやったのでしょう、・・・って、だーかーらー、デファレンシャルギアやドライブシャフトに負担が掛かってぶっ壊れるのでは?とのご心配もありましょうが・・・。

 で、デファレンシャルギア。「ガンディーニのクアトロポルテ」においては、その「最初期型」より、「ギブリ界(ん?)」で云うところの、「いわゆるフェラーリデフ」というヤツで、 キャブビトルボ時代の「センシトルク・デフ」とか、222時代の「レンジャー・デフ」などのトーセン式メカLSDとは中身が異なっており、大きく信頼性がアップ(主に耐久性という意味で)しております。 モノコックシャーシへの接合方法も、肉厚の強固なパイプを用いたサブフレームに、同じくパイプで造ったアッパー・ロアアームごとガッチリと固定され、見るからに信頼性が高そうに見えます(が、その反動が リアサスに・・・泣:その話は追っていたします)。前記、センシトルクやレンジャーデフでは、御約束だった、過大なバックラッシュも、このタイプのデフでは、ほとんど問題になるコトがありませんでしたが、 いかんせん、最初期型あたりだと、15年も前ということになりますから、デフオイルの管理が悪かったものは、内部にダメージが出てくるようになってきました。ご購入時は、 異音やバックラッシュにはお気を付けくださいね。完全に治すのは、とっても費用が掛かりますゆえ。

 デファレンシャルギアがシッカリしてしまった(いいことぢゃん:笑)コトによる副産物として、ドライブシャフトが「逝く」場合が多くなった様に思います。→走行中、後方から「がらっしゅ、がらっしゅ音」。
 また、これはビトルボ時代からそうなんですが、どういうわけだか、右のハブベアリングが弱く、「逝き」やすいです。→後方から、低速走行時「うわん、うあん音」→40Km/hで「わし・わし・わし・わし・わし音」 →60Km/hで「ごわん・ごわん・ごわーん、といった感じの連続音」に変化。
 ガンディーニ・クアトロポルテは自重があるせいか、リアサスペンションのロアブッシュがズッコケるトラブルも多く見受けられます。→後方から、走行中「げこげこ音」若しくは「ごとごと音」。 ブッシュだけ部品が欲しくとも、ブッシュ単品では出してくれないので、新品はサスダンパーとAssyでとりよせるハメになります。
 あっ、そうそう。先ほどの話に戻っちゃいますが、デフも本体内部はよくなりましたが、デフフロントケースベアリングは結構弱く、7~8万キロくらいで異音がでるヤツがあります。 →後方より、走行中「わんわんわん」と連続音。

 ハブベアリングの破損音とデフフロントベアリングの破損音は極めて類似しているので、リフトアップして聴診器を当てながら走行状態を再現するのが、一番の早道です(ヒドいビトルボですと、 両方ともに「逝って」るのもあるんですけどね:笑)。

 また、エボ系各車で、後部から走行中に「ひーかー・ひーかー」と金属質のものを摺り合わせた様な、バネを伸ばしたり縮めたりした様な、なんとも形容しがたい連続音が出たり引っ込んだり (旋回中は出なかったりする)するトラブルにさんざん悩まされたコトがかつてありますが、その場合は、リアハブを完全に分解すると、答えがわかります(ヒントだけ書いとこ:笑)。 答えが分かったついでに、怒りも満ちてきたりして(笑)。この「造り」はないだろう。

 ここで、「コマーシャル」。
 当店マイクロ・デポはマセラティ専門店として、それなりに蓄積されてきた、「血と汗と涙」の歴史がございます。技術ノウハウとはそういうモンです。それは、累々たるお客さんとのコミュニケーションの上に培われてきた 「宝石」のような「やりとりの日々」の結晶なのです。貴方もその環に入ってみませんか。ぜひ、専門店品質(現車もアフターサービスも)を知ってくださいな。旧いイタ車に対するイメージが変わると思いますよ、きっと。


 お次は、フロントサスペンション周りのおハナシ。
 フロントサスが旧くなってきた場合の「キモ」はサス上部に付いてるスラストベアリングのブッシュ劣化による「ガタ発生」まあ、ゴム類は経年で逝っちゃいますから、これはしょうがない。 特記しておきたいのは、主にエボ前、後期型V8に多い、フロントサスの「底付き」による、操舵中のタイヤ←→フロントフェンダー間の接触&フェンダー破損。多くの場合は、サスダンパーの上部にある、 ストッパーブッシュ(たぶんエラストマー製)の風化(ポロポロ状態)に起因している様子。同時にサスからは、いささかズレた話になりますが、フロント足回りを構成する要素の一つに「ピットマンアーム」 というのがあるんですが、その摺動部分がサビて動きが悪くなったり、「ピットマンアームブッシュ」がガタついていたりするものは、いくらアライメントを調整しても毎回狂います。初代ビトルボ以来の 「秘技、タイロッドエンドごわれ(笑)」も当然のごとく健在なので、ガンディーニのクアトロポルテやギブリの中古車において、フロントの足回りをすべてシャキっとさせるのは、通常では、至難と云えましょう。 「ビトルボ系のハンドリングが悪い伝説」はこういった辺りから聞こえてくる様になったもので、キッチリ造れば、まっすぐ走るし、爽やかに操舵できるようになります。

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 足回りの造り込み方手順(当店秘伝のタレ:笑)
①ホイールをすべてはずし、長い年月の間に付着したブレーキダストを完膚なきまでに落としきる。もちろん、見えないホイール裏側のスミズミまでおとす。
②ホイール各部に貼られた「ウエイト」をすべて剥がす。両面テープ部分などの接着剤も完全に除去する。
③ホイールの専門家に依頼し、各部の歪み、凹み、キズをチェックの上、肉盛り成型を施す。
④ホイール外観をオリジナルに忠実に、磨き及び塗装仕上げを施す。
⑤新品のタイヤを組み、コンピューターバランサーにてバランス取りを行い、最小限のバランスウエイトを出来るだけ裏側の見えない位置に貼る。空気圧は規定値より、若干多めに。空気注入バルブ部分は、 往々にして劣化しているので、この時点で交換しておくとよい。
⑥車輌をリフトアップし、ホイールを一旦組み付け、タイヤごとゆすってみる。タイロッドエンドのガタつき具合や、ハブベアリングのガタはある程度この作業の中で、発見、部品交換などを行なっていく。
⑦一旦試運転に供し、足回りのガタ、異音、ステアリングの操舵感、直進性についての感触を得る。
⑧以上、問題が無ければ、最終のアライメントを出す(マセラティの場合、コンピューターテスターが絶対とは限らない。そのサジ加減は経験とセンスが要求される)。

 もちろん、上記工程の中で、他の不良箇所を発見するコトも珍しくはないので(笑)、途中に各不良部品の随時交換作業が入ります。

 当店にてご購入されなかった方々で、足回りに不快感がある方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
222系などの旧いビトルボ系モデルも手順はほとんど同様です。

 先ほどのリアサスの話の中でも出てきましたが、自重の重いガンディーニクアトロポルテは、フロントの足回り各部の劣化も、例えば、同じ4ドアの430などと較べても、進んでいるように思えてなりません。 当店以外のルートでお求めの場合は、足回りのチェックは「試乗絶対」で、ぜひご励行ください。

クアトロポルテと暮らしてみませんか・・・エキゾーストシステムについてに続く
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